水晶の舟 / ライブ評


水晶の舟 <UNDERGROUND SPIRIT Ⅻ - ゆれる花、宇宙のごとく
(吉祥寺 シルバーエレファント/2019年4月12日





水晶の舟 at 吉祥寺シルバーエレファント 4月12日。1999年結成の東京拠点のバンド、水晶の舟による単独公演。
自主企画“UNDERGROUND SPIRIT”のⅫ回目のこの晩の副題は“ゆれる花、宇宙のごとく”で、花にまつわる詩や楽曲を中心に展開された。


様々な小楽器も使ったインプロヴィゼイションを絡め語りや朗読を交えた2時間に及ぶパフォーマンスにゆっくり引き込まれていく。 特にロックな音の部分は“裸のラリーズ meets 不失者 meets 光束夜”とも言いたくなるが、いい意味でトゲを研ぎ澄まし、たおやかでまばゆい歌とサウンドの虜になる。


松枝秀生(b)と原田淳(ds)はコズミックなリズムでハジき出した音をゆっくりと走らせる。なんてきもちいいビート感だ。
オリジナル・メンバーの紅ぴらこ(vo、g)と影男(g、vo)の絶妙のギター・コンビネーションも筆舌に尽くしがたく、二人とももちろん自分自身の歌い方で日本語を紡ぐ。


渋味の効いた影男の歌唱とのコントラストで、ぴらこの歌唱はまっすぐ光を放つ。わざとらしさとは真逆。
彼女自身の律動で祈りの息を吐くような歌はストロングなほど揺ぎない。
ギターだけでなく、並べて立てられた2本のマイクで幼女と聖母の表情が聴こえてくる歌声もリアル・サイケデリックだ。


曲を長く増幅させていくプレイで、会場でもらったセットリストによれぱ「水晶の浜辺で」「チェリー」「紅い花」「花になって」などを披露していった。

終盤には急遽「届かぬ底へ」を加え、ラストはまさに“水晶の舟”の加速度で進む圧倒的な代表曲「おまえの涙」。しあわせなきもちに高まった夜であった。





(行川和彦氏/音楽ライター)




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