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東京・阿佐ヶ谷の黒猫茶房を根城に独立独歩の活動を続けている、サイケデリック・ロック・バンドの水晶の舟が2003年に出したデビュー作のリイシュー。
当時CD-Rで自主制作したアルバムだが、今回は北京のレーベルからCDでのリリース。アートワークはオリジナル盤を尊重したデザインになっている。
2002年の7月から2003年の6月まで、東京・高円寺の無力無善寺とペンギンハウスで行なった5回のライヴから6曲を抜粋した構成。
今もバンドの中核の紅ぴらこ(vo,g)と影男(g,vo)のみの2曲以外の4曲で磯貝利彦(ds)が演奏し、Doroncoの名でも知られる高田清博(b)が2曲で演奏し、『死ぬまで踊りつづけて』の頃の吉野大作
& プロスティテュートの一員でもあった高橋曜櫂(b)が1曲で演奏。そのベーシストは二人とも裸のラリーズの元メンバーでもある。
初期の水晶の舟の記録とも言える音源だが、とにかくたいへん興味深い作品だ。
最近の水晶の舟よりも、紅ぴらこをはじめとして硬さや気負いが感じられるのがまた生々しく、ところによっては怨念すら感じる。
本作がきっかけで付き合いが始まったというモダ〜ンミュージック/PSF Recordsのオーナーが、彼女のヴォーカルに対して「歳を重ねるにつれて良くなっていく」という言葉を贈ったのも納得で、この頃の初々しい歌唱もまた格別なのだ。
1曲目の「森のダンス」はゴシック・サイケデリックとも言いたくなる16分弱の曲。
2曲目の「どこへ」は不失者の静謐な曲を思い出す。
13分半近い3曲目の「闇の情憧」も不失者っぽいが、妖気すら漂う。
ぴらこのヴォーカルも誤解を恐れずに言えばデス/ドゥーム/ブラック・メタルっぽい響きも呈し、最近の水晶の舟ではほぼ聴けない一種の濁声も貴重だ。
ギターはPiL時代のキース・レヴィンのようにも聞こえ、サイケデリックであると同時にサイキックでもある。
10分強の4曲目はでここ数年もライヴでときおり披露される初期の代表曲「チェリー」。
静かな歌ものだ。
5曲目は「Go Go Go」というタイトルとは裏腹にまったり。
6曲目の「黒い幻」は影男のヴォーカルが静かに地鳴りを起こす。
穏やかな表情の中に凄みを利かせ、親交のあった光速夜の金子寿徳からの影響を感じさせるリズム感と歌心のストロング・スタイルの喉を震わせるのであった。
研ぎ澄まされてはいるが、最近の水晶の舟のライヴで渦巻く轟音はほぼない。
確かに“真正の”サイケデリック・ロックだが、ドゥーム・ロックにも聞こえる。
ともあれ呪いを祈りに昇華するような和の侘び寂びの唄と音にとろけるのみだ。
限定で8センチ(約3インチ)のCD-Rがプラケース+ジャケット付きでプラスされている。
2011年7月のスタジオ録音で、メンバーは紅ぴらこ(vo,g)、影男(g)、高田清博(b)、Mark Anderson(ds)。
骨太のベースがリードするインスト・パート中心の8分強の「夕焼けの空の下で」を収め、今の水晶の舟に直結するたおやかなサイケデリック・フィーリングのサウンドだ。
★水晶の舟『1st (ライブ)』(UFO CREAtions - UFOcds - 015)
紅ぴらこのライナーが英文で印刷されたインサート封入。
行川和彦 (2026)
http://hardasarock.blog54.fc2.com/blog-entry-2658.html へのリンク
東京のサイケデリック・アンダーグラウンドから、さらに衝撃的な新作「サイケデリック・アンビエント/痛みを伴うノイズと即興」が登場。1999年結成の「水晶の舟」は、女性ギタリスト兼ボーカリストの紅ぴらこと男性ギタリスト兼ボーカリストの影男を中核に、ドラマーの磯貝俊彦とベーシストのドロンコが参加。時折、代替ベーシストとして高橋曜櫂も加わる。ドロンコと高橋曜櫂はともに裸のラリーズの元メンバー。東京では灰野敬二、工藤鳥、三上寛、金子寿徳、向井千恵らと共演。彼ら自身の言葉を借りれば「キックオフの瞬間から、独特の『サイケデリック』な音楽的音響を創り出す。闇」「光」「生」「死」「愛」「憎しみ」をテーマにした楽曲は、きっとあなたの心の琴線に触れるでしょう。日本語がわからなくても、日本の詩とサイケデリックな内省的なサウンドを楽しむことができます。日本のレーベルからはまだCDがリリースされていません。おそらく水晶の舟の楽曲の世界観があまりにも独特で、近年の音楽業界に受け入れられにくいからでしょう。がっかりしないでください!彼らは自主制作でCD-Rをリリースしています。これが自主制作CD-Rで、灰野流の黒地に黒のジャケットとディスクというクラシックな仕様だ。音楽は、初期フシツシャを思わせる膨張したノドアウト・トレックから、後期ジョン・フェイヒーがチャラランバイデスに多大な影響を与えた並行宇宙を漂う奇妙なデュオ曲、地獄的なデッドC/ゲート流ギター虐待、そして痛切な美しさのダウンテンポ・バラードまで、あらゆる領域を網羅している。二人のボーカリストのアプローチは大きく異なり、紅は喉だけで肺を使わない高音域の奔放なスタイルで歌い、影男は喉の奥底から引き裂くような、ヨード/モリソン/灰野を継承したガットバケット・アプローチで歌い上げる。近年の東京アンダーグラウンドから突如現れた傑作盤の一つ。近頃Volcanic
Tongueのステレオで常時流れているほどで、強くお勧めしたい。
(Volcanic Tongue U.K) (このレビューは2003年のものです)
紅ピラコ(g.vo)と影男(g.vo)のデュオ、「水晶の舟」。
彼らが紡ぎだすサイケデリック・ドローンにのって流れ出す妖しく美しい歌声。時に磯貝利彦のドラムスや、doroncoのベースを加えて、ダーク&サイケデリックなボーカル・ロックを聴かせる。 6では、高橋ヨーカイ(ba)が参加。
混沌として、暗くたゆたうようなギターとボーカル。 それは、日本ロックの根底に脈々と流れてきたほの暗い情念が、現代の高円寺のストリートに蘇ったかのような感覚を覚えさせる。 特に、むせび泣くように?紅ピラコが歌う哀切な「チェリー」のメロディーは必聴。
(Japanoise Records) (このレビューは2003年のものです)
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